日経Goodayで「理想的なBMIは22」は本当なのか?というタイトルの記事が掲載されていました。
BMIは身長と体重を使って簡単に計算できる肥満度を測る数値の事で、世界中で広く使われています。
その計算式はこちら→BMI=体重(kg) ÷ 身長(m)÷身長(m)
このBMIが22くらいだと、一番健康的な体型といわれていますが…。
健康で死亡リスクが低くなるBMIは22というわけではない!?
先ほどの記事では、栄養疫学の先生が死亡リスクや健康とBMIとの関係について、根拠のあるデータを参照しつつ、栄養疫学的な視点からわかりやすく説明してくださっています。
まず、一般的に考えられている「BMI=22が健康」という常識の根拠ですが、これはとある健康診断の結果から導き出された数値です。
30~59歳の日本人男女およそ5000人の健康診断のデータを調べた結果、BMI22が最も異常値が少なかったという研究結果があり、そこから「BMI=22が健康」という考え方が生まれました。
つまり「BMI=22が健康」という根拠の基になるデータには、10代20代の若者や、60歳以上の高齢者は含まれていないということ。
しかも健康診断の検査項目は、肺疾患、心疾患、上部消化管疾患、高血圧、腎疾患、肝疾患、脂質異常症、高尿酸血症、糖尿病、貧血の10項目。がんなどの重篤な疾患は含まれていません。
そのことから、一概にBMI=22が健康とは言えないことがわかります。
ここにもうひとつ、健康ではなく、死亡リスクとBMIの関連について調べた研究結果があります。
40~59歳の日本人男女およそ2万人ずつを10年間追跡し、BMIと総死亡率との関係を調べた研究です。
この研究みてみると、BMIが23~24.9の人たちが最も死亡率が低かったことがわかります。
BMI=22は健康診断では最も異常値が少なかったようですが、死亡リスクの観点から見るともう少し太っていた方が良いみたいです。
ただし、女性の場合はBMI=19~24.9の間であれば、ほとんど死亡リスクに差はないことがわかっています。
それがBMI=18.9以下になるといきなり死亡リスクが跳ね上がるのがわかります。女性は太り過ぎよりも、痩せすぎの方が注意が必要みたいです。
対して男性の方は、BMI=23~24.9が一番死亡リスクが低く、その範囲より逸脱すればするほど痩せても太っても死亡リスクが高くなっていくことがわかります。
女性の方が死亡リスクが低いBMIの幅が広く、男性の方が狭いんですね。
「じゃあ、BMI=23~24.9を目指せばいいんだね!!」
…と思うかもしれませんが、実は話はそう簡単ではありません。
理想的なBMIは年齢によって変わってくるからです。
高齢になればなるほど太っている方がよい
画像:日本人の食事摂取基準(2015年版)より参照
厚生労働省が発表した「日本人の食事摂取基準」によると、年齢によって理想的なBMIの数値は変動していきます。
BMI=18.5~24.9が最も死亡リスクが低くなるのは、18~49歳の間だけ。
50歳~69歳はBMI=20.0~24.9が最も死亡リスクが低くなっています。若いころよりも、少しだけ太めの方が健康なんですね。
この傾向は70歳以上で、もっと顕著になります。
70歳以上はBMI=22.5~27.4が最も死亡リスクが低くなっています。
49歳以下の数値とはずいぶん違いますね。
これらのデータを踏まえたうえでの、理想的なBMIとは何なのでしょうか?
簡単に言えば、30歳以上で糖尿病、心筋梗塞などメタボに関連した病気にすでにかかっている人やそのリスクを持っている人はBMI22を参考にして、とにかく生きていたいと思う人はBMI23~24.9を参考にするのが正しいようです。
参照元:「理想的なBMIは22」は本当なのか?(日経グッデイ)
30代以上でメタボ気味の人はBMI=22くらいを目指すのが目安。
それ以外であれば、BMI23~24.9を参考に、太りすぎや痩せすぎにならないように注意する。そして70歳を超えたのなら、さらに痩せすぎないように気をつける。
これが栄養疫学的に健康を目指すためのBMIの基準なようです。
特に男性の方が痩せすぎ・太りすぎによる死亡リスクが高まります。特に痩せている方が危険!
痩せすぎでガリガリ体型の男性は、若いうちから太るように努力した方が寿命が延びるのではないでしょうか。