昔から、なんとなく胃が重たい。
すぐにお腹がいっぱいになるし、脂っこいものを食べると胃もたれしちゃう。
だけど病院で検査をしても、特に胃に問題があるというわけでもない…。
そんな症状に思い当たるのなら、機能性ディスペプシアが原因かもしれません。
機能性ディスペプシアは、明確な原因がないのに胃の不快な症状が続いちゃう症状のこと。
機能性ディスペプシアになると、たくさん食べることができないし、痩せてしまう原因にもなります。
そこで今回は機能性ディスペプシアの症状や原因、その対策についてまとめてみました。
機能性ディスペプシアの症状とは?
機能性ディスペプシアとは、検査でまったく異常がないのに胃の調子が悪くなる症状のこと。
胃に何の問題もないのに、胃痛や胃もたれしたり、食欲不振になってしまいます。
”機能性”というのは、特に異常がなくても起きる症状のこと。
ディスペプシアは”消化不良”という意味を持っています。
機能性ディスペプシアの代表的な症状
- 食後のいもたれ
- たまにキリキリと胃痛がする
- すぐにお腹がいっぱいになる
- 胸焼けしやすい
- のどのつかえ感
このような症状が週に2回以上、しかも3か月続くようなら消化器系内科で検査を受けましょう。
それで胃腸に何の問題もなければ、機能性ディスペプシアかもしれません。
機能性ディスペプシアになってしまうと、食事をするのがつらくなったり、「胃がんでは…」なんて健康に対する不安感が増してしまいます。
食欲不振で痩せてしまうかもしれませんし、ストレスや栄養不足がいろんな健康上のリスクを高めてしまうでしょう。
機能性ディスペプシアの5つの原因
機能性ディスペプシアを引き起こす5つの要因がこちら。
- 食事
- 慢性的なストレス
- 喫煙や飲酒
- 睡眠不足や不規則な生活
- ピロリ菌感染
機能性ディスペプシアを改善するには、これらの原因に対処するのが大切です。
それぞれについて、もう少し詳しく説明します。
食事は健康的に
食事は胃腸に刺激の強いものを食べ過ぎないのが大切。
甘いもの、脂っこいもの、辛すぎるもの、冷たすぎるものを控えましょう。
また早食いをしたり、大食いすると胃に負担がかかって機能性ディスペプシアの原因にもなります。
ゆっくりとよく噛んで食べること、そして腹八分目におさえることが胃腸の調子を良くしてくれるます。
ストレスをためすぎない
機能性ディスペプシアは真面目な性格の人や、ストレスを感じやすい人が多いという傾向があります。
ちょっとしたストレスで胃の調子が悪くなるとしたら、ストレス性の機能性ディスペプシアの可能性があるでしょう。
ストレスは自律神経を乱れさせ、胃腸の調子を悪化させます。
緊張する相手と食事をするときに食欲が湧かなかったり、大事なテストの前に食べる気が起きないのも、ストレスで胃腸の機能が低下しているから。
慢性的にストレスを感じていると、ず~っと胃の調子が悪いままに。そうなれば、消化不良、胸やけ、胃痛を引き起こす原因になります。
運動をしたり遊んだり、自分なりにストレス解消を心がけ、精神と胃を休めるよう心がけましょう。
喫煙や飲酒はほどほどに
煙草を吸う瞬間をサーモグラフィ画像で見てみると、喫煙後の数秒で指先の温度がサッと下がります。
煙草で手のひらや指先の血流が低下したからです。
この煙草による血流低下現象は胃にも及びます。
お腹いっぱいになった後の一服が美味い!なんて喫煙していると、胃の調子が悪くなり機能性ディスペプシアを引き起こすので注意が必要です。
煙草を止めるか、どうしても喫煙をするのなら食後すぐは止めておいた方が良さそうです。
また、過度の飲酒も胃腸へのダメージになります。
大酒のみは食欲がなかったり、下痢をしやすかったりしますが、それはアルコールで消化器官がダメージを追っているから。
飲酒習慣も機能性ディスペプシアを引き起こす原因になるでしょう。というか、過度の飲酒が原因であれば明確に胃があれるので、機能性ではなく器質性ディスペプシア(胃に問題のある食欲不振)といえるかもしれません。
睡眠不足や不規則な生活
睡眠不足や夜更かし、不規則な食生活は、自律神経を乱れさせます。
自律神経の乱れは胃腸の調子を悪くするのは先ほど説明しましたね。胃腸の調子が悪いと機能性ディスペプシアの原因になります。
規則正しい生活習慣が、健康な胃腸のためには大切です。
毎日同じ時間に眠って、同じ時間に起きる。
朝食を抜かずに、毎日決まった時間に食事をとる。
そうすれば胃腸の機能が整い、機能性ディスペプシアの症状も和らぐでしょう。
ピロリ菌感染
ピロリ菌の感染も機能性ディスペプシアの原因になります。
ピロリ菌というのは、強酸性の胃の中でも生き続けることができるタフな細菌。胃痛・胸焼け・消化不良を引き起こすばかりか、胃がんの発症リスクも上げてしまうというけっこう恐ろしいヤツです。
実は私自身の胃にもピロリ菌がいたことがあり、時たま原因不明の強烈な胃痛に悩まされていました。
(コーヒーの飲み過ぎが原因かな…)
と思っていたのですが、健康診断で何気に追加料金を払ってピロリ菌を調べてもらった、自分の胃の中にいることが判明。
近くの消化器系内科で診察してもらい、胃カメラ検査をして、しっかりと除菌してもらいました。
除菌といっても1週間くらい抗生物質を飲むだけ。
2013年から慢性胃炎の治療としてピロリ菌の除菌が保険適用になっています。それ以前は、胃潰瘍などの病気にならない限り、ピロリ菌除菌は自費で行う必要がありました。
もし激しい機能性ディスペプシアの症状に悩まされているのならピロリ菌の有無を調べてもらった方がいいかもしれません。
私はピロリ菌をしっかり除菌してから、胃痛に悩まされることが一切なくなりました。今でも毎日コーヒーを飲んでますが、全く問題ありません。
ピロリ菌の保菌者は年々減ってきていますが、機能性ディスペプシアに悩まされている人の何割かはピロリ菌が原因かもしれませんね。
機能性ディスペプシアに効く漢方
機能性ディスペプシアに悩んでいるのなら、専門医に相談するのが一番。
胃液を抑える薬や胃腸の働きをよくする薬などを処方してくれるでしょう。ストレスが原因の場合は、抗不安薬なんかを使う場合もあります。
機能性ディスペプシアは2013年から診断名として認められ、健康保険による治療の対象になりました。なので、わずかな負担で機能性ディスペプシアの治療を受けることができます。
また、もし病院に行く時間がないということであれば、市販の漢方薬でも機能性ディスペプシアにアプローチできるものがあります。
①六君子湯(りっくんしとう)
六君子湯は胃腸に効く漢方薬。
機能性ディスペプシアの症状を改善する効果があるという報告もあります。
胃もたれや食欲不振、胃下垂、胃痛などを防ぎ、胃腸の調子を整えます。
②半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
半夏厚朴湯は不安神経症や神経性胃炎に用いられる漢方薬です。
ストレスが原因の機能性ディスペプシアにいいでしょう。
③安中散(あんちゅうさん)
安中散は胃痛、胸やけ、げっぷ、ストレス性の食欲不振や慢性胃炎に効果を発揮します。
④半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)
半夏瀉心湯はみぞおちあたりのつかえ感や吐き気、食欲不振、胃下垂、胃腸炎などに用いられる漢方薬です。
機能性ディスペプシア対策まとめ
ず~っと胃の調子が悪くて痩せているけど、病院で検査をしてもらっても原因は不明。
それは機能性ディスペプシアかもしれません。
今回紹介した5つの対策や胃腸に効く漢方薬などを用いれば、少しずつ症状が改善することでしょう。
とはいえ、原因不明の胃の不快感がすべて機能性ディスペプシアというわけではないので注意が必要です。
40代以降で慢性的に胃の調子が悪い場合は胃がんの可能性もゼロではないので、一度は医療機関で内視鏡検査を受けておきましょう。
お酒をよく飲む人で胃が痛いのなら膵炎のチェックをしてみるのも大切です。
ひょっとしたら、私のようにピロリ菌をもっているかも?
ピロリ菌を除菌した後は、ほんと、胃の調子が良くなりました。
慢性的に胃の調子が悪いのなら、一度ピロリ菌の検査をしてもらうのもオススメですよ。検査はヴィダー・イン・ゼリーが入っている容器のようなものに「ぷぅ~」っと息を吐くだけなので簡単です。
原因不明の胃痛や胸焼けは、自己判断すると思わぬ危険が待っているかもしれません。
何はともあれ、機能性ディスペプシアかどうかは自己判断せずに、消化器系内科でちゃんと見てもらうことが大切ですね。