よく「食べないから胃が小さくなった」なんて話を聞きます。
毎日たくさん食べると、大量の食べ物が胃の中に詰め込まれて、その結果胃が大きくなる。胃が大きくなるから、たくさん食べれる。
逆に少食だと胃が小さくなり、たくさん食べれない…。
胃という消化器官は、本当に食べる量によって大きさを変えるのでしょうか?
胃が小さくなるの真実
まず結論を申し上げると、小食を続けたからと言って胃が小さくなるとうのはウソです。
もちろん、たくさん食べ続けたからと言って胃が大きくなるのも間違い。
では、なぜそんな風な誤解が生まれたのでしょうか?
実は小食を続けると、本当に人はあまり食べなくても平気になります。
低栄養状態が継続することで身体全体の代謝が低下して、基礎代謝や運動による消費カロリーが減ったり、わずかな食べ物から効率的に栄養を得ることができるようになるからです。
身体の変化に合わせて、脳も変化します。
満腹感を感じるのは胃ではなく脳です。少食になれた胃は、少量の食べ物でも脳の満腹中枢を刺激して満足感を得ることができるのです。
では逆に、たくさん食べ続けると胃はどうなるでしょうか?
たくさん食べ物があるので、それをすべて消化吸収しようと胃液の分泌が盛んになり、胃の機能自体が活性化します。これは同時に、胃に対して過剰な負担をかけているということでもあります。
このような状態が長く続くと、食べ物をすべて栄養として吸収する必要がなくなり、胃の消化機能が低下していってしまうかもしれません。
満腹感は血中の血糖値上昇によって脳が反応して起きますが、胃の消化機能が低下していると、たくさん食べてもすぐに血糖値が上がりません。その結果、満腹感を得るためにたくさん食べる必要があるのです。
早食い、よく噛まないで食べる、一度にたくさん食べる、といった食べ方は胃に負担をかけます。その結果、胃の消化機能が低下してたくさん食べても大丈夫になるのです。この状態を「胃が大きくなった」と呼ぶのでしょうが、実際は胃の消化機能が低下している状態といっていいのです。
胃の大きさと太りやすさは関係ない?
テレビで活躍する大食いフードファイターは、ありえないほどたくさん食べますが、その割に痩せた体形の人が多い気がしますね。
少なくとも「太っている=大食い」とは、必ずしも言えないようです。
先ほども説明した通り、小食の人は少ない食べ物から効率的に栄養素を吸収できるような体になっているし、大食いの人はたくさん食べてもそのすべての栄養素を吸収できるわけではありません。
太っていて小食の人がいるように、胃の大きさ(消化機能)とその人の体形はあまり関係がないようです。
小食だったとしても、自分の許容量を超えた食事量を続けていれば体重は増えるでしょうし、たくさん食べる人が一般的な食事量を続けたら体重が減ってしまうかもしれません。
効果的に体重を増やすコツは、ただたくさん食べればいいというわけではありません。
ご飯1杯分(140g)のカロリーは約235kcalといわれていますが、すべての人が235kcalを吸収できるとは限らないのです。
自分の中にある許容量の中で、消費カロリーよりも多くカロリー摂取することが、カロリーを脂肪に変える秘訣。
太るために無理にたくさん食べようとすると、健康を害してしまう恐れがあります。
小食でたくさん食べれない人にとっては、お茶碗1杯分のご飯でも十分に太ることができる分量な可能性もあるのです。