男性であれ、女性であれ、痩せすぎでヒョロヒョロ体型の人は骨折しやすいってイメージがあります。
実はそれは正しくて、痩せ体型の人は骨が脆くなり、骨折しやすくなるし、骨粗しょう症のリスクも上昇します。
その理由とは何なのでしょうか?
痩せすぎ体型が骨折しやすくなる理由
痩せすぎ体型の人が骨折しやすい理由は、例えば「カルシウムが足りないから」とか「運動不足だから」といった理由ではありません。
それは女性ホルモン・エストロゲンの働きが低下しているからです。
エストロゲンは女性であれば豊富に分泌されていますが、男性にも分泌されている大切なホルモンです。
エストロゲンは骨にカルシウムを沈着させる作用を持っているので、エストロゲンの分泌量が低下すると骨密度が低下して骨がもろくなってしまうのです。
例えば女性の場合、閉経後に骨粗しょう症のリスクが上昇します。これを閉経後骨粗しょう症と呼びます。
その理由は女性ホルモンの急激な低下によって、骨密度が低下するから。食生活の中でしっかりとカルシウムを摂取していても、骨がスカスカで脆くなってしまう理由はエストロゲンにあったんですね。
最近は昔に比べて、骨粗しょう症で悩んでいる方が増えています。
その理由はダイエットのやり過ぎや、痩せすぎ体型の男女が増えたからだと考えられます。
体脂肪とエストロゲン
端的に結論を申し上げると、太っていると骨粗しょう症のリスクは低下して、痩せていると骨粗しょう症のリスクは上昇します。
痩せている人=骨折しやすい
太っている人=ちょっとくらいの衝撃ではびくともしない
このイメージは正しいってことですね。
その理由は脂肪細胞そのものにあります。体脂肪の量と分泌される女性ホルモンのエストロゲンには密接な関係があるのです。
脂肪細胞は食べ物が足りない緊急事態のためにエネルギーを蓄える役割を持っていますが、同時にエストロゲンの分泌量を増やす働きを持っています。
例えば痩せていて脂肪が少ない女性はエストロゲンの分泌量が低下し、様々な弊害が現れます。
月経不順や無月経もそうですが、薄毛になったり、妊娠しにくくなったり、ホルモンバランスが崩れて精神的に不安定になったりもします。
男性も痩せていて脂肪細胞が少ない場合は、骨が脆くなって骨粗しょう症になりやすくなります。
ちなみに太っていると骨粗しょう症になりにくいとはいえ、限度はあります。太り過ぎの体型は骨を丈夫にする幹細胞が脂肪細胞に多く分化するため、骨粗しょう症のリスクは上昇します。
痩せすぎと共に、太りすぎも骨が脆くなるリスクになるんですね。
骨粗しょう症への3つの対策
①運動療法
運動をすると骨は丈夫になります。運動によって骨に刺激が与えられて、骨細胞が破壊されます。それを修復する過程で、さらに骨密度が上昇するのです。
寝たきりで身体を動かさないと骨折しやすくなりますし、ちゃんと毎日運動をしていると骨が丈夫になります。毎日骨に負担のかからない程度の散歩をするのがオススメです。
②薬物療法
本当に症状が危険な場合は、薬物療法を行います。これは医療機関を受診して、専用の薬を処方してもらう必要があります。
骨折しやすくて日常生活に弊害がある場合は、ちゃんと病院に行って治療する必要があるんですね。
③食事療法
一番の基本はやっぱり食事療法です。
骨粗しょう症改善のための食事というと、やっぱりカルシウムを摂りましょうとか、ビタミンDやマグネシウムなどを摂取することを勧められます。
それらももちろん大切ですが、しっかりと脂肪細胞を増やすことが骨粗しょう症予防に効果的だと考えます。エストロゲンの分泌が増えて骨が丈夫になるでしょう。
もちろん、今現在普通体型であったり、少しくらいの肥満体型ならば、食事でカルシウムを摂取するのが有効でしょうが、痩せているとしたらまず脂肪を少しでも増やすことを考えましょう。
カルシウムやビタミン・ミネラルがバランスよく含まれた食事を、しっかりと食べる。これがしっかりと脂肪細胞を増やす基本です。もちろん、ダイエットなんてやってはいけません。
脂肪が増えるくらいよく食べ、適度に運動する。そうすれば、骨が丈夫になり、健康的に太ることができるでしょう。