もし小食であまり食べられないのが悩みだとしたら、ちょっと行儀が悪いですが、テレビを観たり、スマホでゲームをしながら食事をすると、無理せずに食事量が増えるかもしれません。
「テレビを観ながらって、食べる量と何か関係あるの?」
そんな風に思うかもしれませんが、テレビというのは私たちの食事をすっごく左右してしまう可能性があります。
テレビと食事量の意外な関係について、海外の3つの研究を紹介します。
オハイオ大学のテレビと食事量の研究
米オハイオ大学の研究グループがアメリカ栄養学会の機関誌に発表した「テレビと肥満の関係」についての研究があります。
「家族で一緒に食べる」「外食が多い」「いつも母親が料理を作ってくれる」「ひとりで食べることが多い」などなど、食事量に関連しそうないろんな状況について調べたところ、もっとも食事量が少ないのは「食事中にテレビを観ない人」でした。
食事中にテレビを観ない人は、普通の人に比べて肥満になるリスクが37%も少ないとのこと。
逆にテレビを観ながら食事をする人は、家庭料理を食べるより、家族や友達と食べるよりも食事量が多くなったという結果が。
以外にもテレビを観る、観ないが、食事の内容や状況よりもその人の食事量に影響を与えていたのです。
では、その理由は何なのでしょうか?
そのヒントになる研究があります。
ワーゲニンゲン大学のアニメと食事量の研究
オランダのワーゲニンゲン大学の研究によると、アニメ映画を観ながら食事をすると食事の量が増えることがわかりました。
これは先ほど紹介したオハイオ大学の研究結果と一緒ですね。映画でもテレビでも、何か面白い映像を観ながら食事をすると食事量が増えるようです。
ワーゲニンゲン大学によると、アニメを観ながらだと食事の味に集中できなくなり、そのために食事量が増えたとのこと。
テレビやアニメ映画を観ながの食事は、食べているという実感をなくす効果があるようです。その結果、食べる量が増えてしまうのかもしれません。
この食べているという実感をなくす効果は、なにもテレビやアニメ映画ばかりではありません。
ブリストル大学のゲームと食欲の研究
イギリスのブリストル大学の研究チームは、ゲームをしながら食事をすると食事量にどんな影響があるのかを調べました。
カードゲームをプレイしながら食事をするグループと、食事に集中するグループを比較したところ、カードゲームをプレイしながら食事していたグループの方が満腹感を感じていないことがわかりました。
食後のデザートも、ゲームをしていたグループの方がたくさん食べたのです。
この研究結果をみると、私たちの全体の食事量は、実際に食べた量と共に”食べたという記憶や実感”もまた強く影響しているようです。
ゲームをしながら食事をすると食べたという記憶が印象に残らないので、満腹感も感じづらく、全体としての食事量が増えてしまうのです。
まとめ
「満腹感を感じる」のは胃袋や腸ではなく”脳”です。
脳が血糖値の上昇や、胃や腸の容量など、いろんな要素を総合して「これ以上食べなくていいよ~」や「もっと食べて~」という判断をしています。
どうやら、その満腹感を左右する要素のひとつに、食事をした記憶や実感があるようです。
食事に集中して、一口一口味わい、噛みしめながら食事をすると、ごく少量でも満足してしまってたくさん食べることができません。
もし普段から食事量が少なくて体重が増えないようなら、テレビを観ながら、小説を読みながら、スマホでネットを閲覧しながら食事をすることで食事量が増えるかもしれませんね。
もちろん、ちゃんと集中できる面白いテレビを観ないと、食事量は増えないと思いますが…。